書籍感想

【書籍感想】TVディレクターの演出術ー物事の魅力を引き出す方法(高橋弘樹)

2020年8月8日

こんにちは、本日は書籍の感想です。

本日感想を書く本はこちら、「TVディレクターの演出術ー物事の魅力を引き出す方法」(高橋弘樹・ちくま新書 2013年)です。

 

 

一言感想としては、テレビを見たくなる、動画を作りたくなる、そんな気持ちにさせてくれる本でした!

 

この本を読もうと思ったきっかけ

私はテレビ業界の人間でもなければ、これを志望するものでもありません。というかクリエイティブとは無縁の人間です。

でも、最近は素人でも動画投稿で色んな情報を発信していますよね。YouTubeとは限りませんが、私も何か動画投稿とかできないかなあ、でもどうやって作ればいいんだろ、と思いまして。

であれば、Youtubeの動画クリエイター向けの本とかたくさんあるし、そっち読めよ、という話です。というかそちらの方が手っ取り早いはず。

まあそうは言っても今日明日すぐにYouTuberになろうというわけでありませんし、そうであれば、会社として費用とお金をかけてプロとしてテレビ番組を作っておられる方が書かれた本を読んでみようと思った次第です。

結果として、良い意味で期待を裏切られることになりました。

 

著者・本書のざっくりとした紹介

著者の方は、テレビ東京製作局プロデューサー・ディレクター・カメラマンで、過去に「TVチャンピオン」「親切⁉︎日本ミステリー」「ザ・ドキュメンタリー」「空から日本を見てみよう」といった番組のディレクターを担当された方です(本書背表紙より)。

大手のテレビ局と比べて予算が少ないテレビ東京、しかも芸能人が主役を務める他の番組と違って、素人が主役となる番組で、いかに視聴者に見てもらうか、楽しんでもらうか、そのための企画を考えるためのリサーチの仕方、物の見方、演出の方法といったことが書かれています。

 

本書を読んでの感想

正直、体系化されたハウツー本といった形式ではなかったです。どちらかというと、エッセイ風味の内容で、著者が過去に携わった番組を例に、その番組の一場面にはどのような考え方があったのか、という話が中心となっています。ですので、この本を読んで、今日からいきなりガンガン面白い動画を作り始められる、といった類のものではないと思いました。

これはある意味当たり前の話でして、テレビ番組を製作するという、いわゆる「プロ」である著者が長年いろんな番組に携わってきて身についた考え方や物の見方について書かれているため、そんなに直ぐに実践できるはずがない、ということなのです。

そして、そうであるが故に、「プロ」が自分の作った作品について、その意図などを詳細に解説してくれる本書は、まるで製作秘話を読むような感じで、ぐんぐんとページを読み進めることができました。映画では製作秘話というのは割とよく聞きますが、無料で観ることができるテレビ番組ひとつひとつにこんなにも手間と情熱がかけられているのか、というのは正直驚きしかありませんでした。いわゆるハウツー本より余程ワクワクしながら読むことができました。

例えば、カメラワークひとつをとっても、インタビュー中に映る背景、どこにカメラの中心を当てるか(インタビューされている人が席を立った後もしばらくその空席を写すことでその人の感情を表現する)、といった意図が隠されているのはこの本を読んで初めて知りました。いえ、初めて知ったと言うより、ここまでこだわり抜いて一つの場面を製作しているのかと驚いた、と言った方が正しいかもしれません。

本書ではこうした、テレビ番組を作る側が視聴者に何を伝えようとしているのか、そのためにどういった演出をしたか、といった裏側を知ることができます。

これからテレビを観るとき、何も考えず見ていた今までは違って、この場面は製作者にこういう意図があるのかな?こういうことを伝えるためにあのエピソードを挟んだのかな?といった想像をしながら見ることができそうです。なんだか久しぶりにテレビ番組を観たくなってきました。

繰り返し本書を読みながら、色んなテレビ番組を観ることで、掴めてくるものもあるかもしれませんね。

 

改めて感じるプロの凄さ

それにしてもプロというのは本当に凄いと思います。言い換えますと、企業の裏に隠れた人間の努力でしょうか。

テレビに限りませんが、インスタント食品や冷凍食品は手作りの料理より劣っている、みたいな論調が一部にはあるかもしれませんが、一部の人はこういった娯楽や食べ物が簡単に手に入るが故に、「手作りの方が尊い」といった考え方をされるのかもしれません。

もちろん手作りされたものは素晴らしいのは事実だと思います。ですが、これは企業が作ったものにも当てはまるんじゃないでしょうか。娯楽や食品のように簡単に手に入るものの裏には、このように簡単に手に入るため、また、1人でも多くの人に触れてもらうために各企業がそれこそ何人もの人手と時間をかけて積み上げてきた努力があるはずです。ある意味、手間暇はとてもかかっているのです。そして企業の担当者の真心も込もっているはずです。

別に企業が作ったものが尊いとか、個人で作ったものが尊いとかを論じるつもりはありませんが、どんな物も誰かの努力でできている事実を忘れないことで、ちょっとだけ寛容になれるのではないかと思いました。

普段何気なく見ている番組(特に芸能人などが出ないドキュメンタリーやなど)を見るときに新しい視点を与えてくれる本だと思います。おすすめです。

 

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